リブ・アローン
はじめは嫌で嫌で仕方なかったことが、徐々に、あれ、そうでもないかも、っていう風に変わっていった経験って、誰しもあるんじゃないかな。
私にとって、それは、"一人暮らし"だった。
今週のお題、「私の一人暮らし」。
数年前、嫌で嫌で嫌で嫌で仕方なかったけれど、そんなに嫌うほどでもないなって最近は思える。むしろ好きなときもある。
なぜ嫌だったか、それは寂しいから。それに尽きる。
なぜそうでもなくなったか、それは慣れたから。それに尽きる。
一人暮らしをはじめて、隣人がバタバタうるさいとか、隣の空き部屋のリフォームの音ガチでうるさいとか、毎朝宅急便でぇーすってあちこちの部屋でピンポン鳴らしてるお姉さんが同じ人とか、クリスマスの翌日に大喧嘩してる隣のカップルとか、真夜中にPPAP急に歌い出す隣人とか、ユニットバスの寒さとか、夜中に響く、猫の、シャーっていう威嚇の音とか、そういうものに敏感になった。
敏感だから、暮らしづらいとかいうのではない。敏感だから楽しいのだ。
一人でいる寂しさ、孤独感、危機感から、敏感になったが、それに伴って新しい発見が多くて、案外楽しい。
もう、一人でなんでもできるんじゃないかってくらい、一通りはなんでもできる。
自転車盗まれた疑惑の時も落ち着いていたし、排水つまって水流れなくなってもとりあえずあたふたしなかったし、しょうが焼きしたいのにしょうが買い忘れても冷静でいられた。
自分一人のために丁寧につくる味噌汁なんて、最高よ。
一人のためにつくる餃子よ、そんな手間かけてどうすんねんっていうのが逆に楽しい。
そうして一人暮らしに慣れたころ、実家に帰省して、叫んだ。
冷蔵庫、デカっ!!!!
炊飯器、デカっ!!!!
洗濯機、デカっ!!!!
もう、なにもかも、デカっ!!!!
そう。一人暮らしのミニサイズにいつしか慣れてしまってたのだ。この前まで触っていたはずの電化製品が、大きく感じられた。
冷蔵庫なんて、立方体の、ホテルの部屋にある系やつだった。
炊飯器は、5合炊きから3合炊きだし。
洗濯機は、言うまでもない。
一人暮らししたからこそ、見慣れたはずの実家でさえ、新鮮に見えたのである。新しい発見すぎる。
そうそう、あと、一人暮らししてて、いざ、帰省すると、胸がアツくなる。
自分の地元の駅に近づくと、「ここが私のホーム」感がものすごく強くなる。
逆もしかりで、実家を離れると、「ホームを離れてアウェイで1人遠征」感が強くなる。
それがいつしか、実家から一人暮らしの部屋に帰ってくると、それもそれで懐かしいなぁ、帰ってきたなぁ、って感じるようになった。
あれ、私、適応したみたい。
あれ、私、成長したみたい。
あんなに一人暮らしが嫌だったあの頃の自分に、案外悪くないかもよって、ちょっとだけ囁いてあげたいなあ。
そんな日が来るなんて、思ってもみなかった。