「クリスマスを探偵と」

中学の頃から好きな作家は誰ですか、と聞かれると、伊坂幸太郎です、と答えていた。あのラストの怒濤の追い上げ的な展開が心地よくて、気に入って何冊か本を購入した。

 

前は新刊がでる度に読んでいたけど、今となっては、あぁ、新刊出たんだ、くらいになっていた。冷めたというわけでもなく、忘れていたというわけでもないが、改めて自分は熱狂的なファンではないことを自覚する。なんとなく好きなんだろうな。

 

絵本?

 

ちょっと前に本屋をフラフラしていた時、偶然伊坂幸太郎の新しい絵本と目があった。

 

「クリスマスを探偵と」

 

絵本?

 

どうやら、彼が文章を書いて、絵はマヌエーレ・フィオールというイタリアの方が描いているらしかった。

 

そういうわけで、その絵本の存在だけは、知っていた。

 

 

 その後、再びその本と思いもよらぬ場所で出会った。今回は時間もあったので、本を開いた。

 

読み進めて、懐かしくなった。

絵本だから子供向けとか先入観を持って読み始めた自分が恥ずかしくなった。

なにが伊坂らしいか言語化できないけど

これぞ伊坂だと思った。

本の可能性を感じた。何でも生み出せるって言ったら言い過ぎかもだけど、そんな感じだ。

言ってしまえば最初は白紙。

そこに文字をどうのせるかで、

脳がそれを読み込んで、

映像化なりなんなり、装飾をほどこす。

その空間にひとりでつつまれて、至福のひとときを過ごす。

なんて贅沢な時間なんだろう。

マイペースと創造の世界。

本は本で、そのよさがあるよ。

 

ああ、やっぱ伊坂幸太郎すき。

小さい頃にすきだったものって、大きくなってもすきだったりするよね。

 

また、小説も読みたいな。